朝。いつもと同じように高校に行く道中、突風に思わず目をつぶった澪が次に見たのはとんでもなく豪華なベットだった。家具も絨毯も、如何にも高級そうなものばかりで目眩がする澪。この部屋は私の家の総面積の2倍くらいありそうだ。
見たこともないこの部屋は一体何?
そもそもここは何処だろう?
頭の中は次々に疑問が浮かんでくるけれど、答えてくれる人がいないのでどうしようもない。
そこに、唐突に現れたのは、真っ黒い男。顔は見たことのないほど美しく、当に美貌という言葉がぴったりなのだけれど、表情は硬く、とても怖い。反射的に身構えてしまう、絶対的な存在に思えた。
この人誰?
話して行く内に分かったのは、私が今いるのは異世界で、イルエディア帝国王宮内の王の間だということと、目の前の男がイルエディア帝国の帝王だということ。意味が分からない異常事態に頭が真っ白になる澪だったが、いつの間にか私は王の間の隣の部屋を貸してもらえるようになった。何故かって?それは私にも分からない。あのライヴァスという帝王が決めたことだ。
この世界に来てから一週間がたち、どうにか王宮内の生活に慣れたころ、事件は突然やってきた。